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夫や妻が何らかの事件を起こして刑務所に入ってしまったら、世間から見れば自分は犯罪者の妻/夫とみなされてしまいます。そうなれば、「もうこれ以上夫婦ではいられない」「離婚したい」と考えることは気持ちとして当然のことです。

 

刑務所に入っている配偶者と離婚する方法

しかし、相手方がこの先何年も服役しなければならない状態では、正式に離婚手続きに踏み切ることはできません。では、刑務所に入っている配偶者と刑期の終了を待たずに離婚する方法はあるのでしょうか。

離婚には、婚姻するときと同じく当事者双方の合意が必要です。まずは相手方と面会して話し合い、離婚話に素直に応じてもらえたら協議離婚を成立させ、婚姻関係を終了することができます。相手は刑務所にいるため離婚届に押印することはできませんが、拇印を押してもらうことで押印したとみなされます。もしくは役所に離婚届を提出する際、職員に「相手が刑務所で服役中のため、判子を押すことができない」と伝えることで受理してもらえるでしょう。

では、相手方が離婚に応じないときにはどうすればよいのでしょうか。その場合は協議離婚ではなく、いきなり裁判離婚の手続きを踏むことになります。通常は離婚調停を経て、調停が成立しなければ裁判となるのですが、相手方が刑務所に収監されているような場合は特例として調停をせずにいきなり裁判に持ち込むことが可能です。

 

調停を起こさずに離婚訴訟を起こせます

配偶者が犯罪を犯して刑務所に入っていてしばらく出所の見込みがない場合は、離婚調停をせずそのまま離婚訴訟を提起することができます。

しかし、離婚調停手続き自体は必要です。離婚調停申立書は配偶者が収容されている刑務所に送ることになります。調停は原則として当事者双方が出席する必要がありますが、相手方が刑務所に入っている場合は調停を開いても裁判所に出廷できる可能性は非常に低く、調停が成立する見込みはほぼありません。その場合は調停ができない理由を訴状に記した上で家庭裁判所に対して離婚訴訟を起こすことになります。

相手方が刑務所に入っている場合の離婚訴訟は、1回の期日で終了することが多いです。第1回の期日で、配偶者が犯罪を犯して刑務所で服役中であること、離婚したいことを裁判官の前で明言すれば、裁判官はその内容から離婚を認めるかどうかの判決を下します。

民法上、刑務所で服役中の状態は「婚姻を継続し難い重大な自由」に該当しますが、裁判官が離婚を認めるのはケースバイケースです。たとえば、殺人などの重大な罪を犯した場合であれば離婚は問題なく成立することがほとんどですが、軽微な犯罪であれば離婚原因としては認められません。軽微な犯罪でも何度となく罪を犯し、その度に有罪判決を受けて刑罰が執行されて家族の関係が破綻している場合などは離婚が成立しやすい傾向にあります。

ただし、離婚するにあたり留意しておかなければならないこともあります。たとえば夫がを犯したことが原因で離婚することになったものの、夫が妻を被保険者とする生命保険などに入っている場合、保険者を変更しておかなければ妻の保障を継続できなくなる可能性があります。また、離婚が成立する前に別の男性の子を妊娠した場合、離婚成立後300日以内に出産すると元夫の嫡出子とみなされてしまい、親子関係の不存在について訴訟を起こさなければならなくなるため注意が必要です。

 

慰謝料はきちんともらえるのか

慰謝料を請求できるのは、原則として相手方が浮気をしていたり、暴力をふるわれていた場合です。そのため、罪を犯した事実だけではただちに慰謝料が発生する可能性は低いと言えますが、配偶者が逮捕されたことで精神的苦痛を受けたと感じたのなら、慰謝料を請求することをおすすめします。

慰謝料の金額は、逮捕される原因となった犯罪の内容や刑事裁判の状況、配偶者の帰責性、その他の事情などを総合的に見て、それらが「婚姻を継続し難い重大な事由」にどれくらい影響を及ぼすかによって判断されます。

慰謝料が請求できる場合、離婚の成立から3年以内に請求することが必要です。離婚による慰謝料の金額は当事者同士の話し合いで事由に決めることができ、相手方に財産があるのなら、1000万円などの高額な慰謝料を請求することもできます。

しかし、過去の裁判例から大体の慰謝料の相場は決まっているものです。どれくらいの慰謝料を取れるかは状況により異なりますが、一般的な慰謝料の相場は100万円〜300万円くらいと言われています。婚姻期間が長い、請求する側の年齢が高い、子の人数が多い、などの場合は慰謝料がより高額となるケースが多いです。また、子どもがいれば養育費を併せて請求することもできます。

配偶者が犯罪に手を染めて服役中ともなれば、自分の交友関係にも亀裂が入ることになりかねません。また、親が前科者であることが世に知れると子どもの就職や結婚にも悪影響を及ぼす可能性があります。スムーズに離婚を成立させたいときは、離婚に強い弁護士に相談してアドバイスを受けながら手続きをするとよいでしょう。

 

参考URL

永瀬優「夫が犯罪で逮捕。離婚して慰謝料を請求することはできる?」
<http://xn--q9js916vlmi434duhp.com/%E5%A4%AB%E3%81%8C%E7%8A%AF%E7%BD%AA%E3%81%A7%E9%80%AE%E6%8D%95%E3%80%82%E9%9B%A2%E5%A9%9A%E3%81%97%E3%81%A6%E6%85%B0%E8%AC%9D%E6%96%99%E3%82%92%E8%AB%8B%E6%B1%82%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8/>

ベリーベスト法律事務所「離婚に強い弁護士が教える!離婚慰謝料の相場と高額獲得する方法」
<http://best-legal.jp/divorce-alimony-rate-199>

知って得する離婚マニュアル「婚姻を継続し難い重大な事由」
<http://www.toku-rikon.com/uwaki/uwaki8-5.html>

損保ジャパン日本興亜ひまわり生命「離婚したとき」
<http://www.himawari-life.co.jp/customer/scene/divorce.html>

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