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離婚の種類と手続きの流れ
自分が離婚したくても、すぐに相手との話し合いがまとまらないケースもあります。今回は夫婦間の協議で離婚ができない場合の流れや対策についてお伝えします。離婚がスムーズに進まない人は参考にしてみてください。
まずは話し合いをしましょう!協議離婚とは
結婚と同様、離婚も自分一人ではできません。夫または妻の合意が必要となりますが、そのためにはまず夫婦間でよく話し合うことが大切です。夫婦の話し合いで、お互いが納得すれば、居住地のある区役所や市役所に離婚届を提出するだけで離婚することができます。これを協議離婚といい、日本の離婚の大半を占めています。離婚手続きの中でも一番手っ取り早い方法ですが、慰謝料や財産分与、さらに子どもがいる場合には親権、養育費等の条件をきちんと話し合って決めておく必要があります。また、当事者間で決めた事柄は口約束になりやすく、のちのちトラブルになる可能性も否定できません。夫婦間の話し合いで合意した内容は、公正証書を作成して残しておくことをおすすめします。
話し合いで解決しなかった…!調停離婚へ
離婚をしたい場合、夫婦の話し合いで離婚ができれば時間も手間もかからず理想的です。しかし、相手が離婚を拒否するなど当事者間で話がまとまらないケースも考えられます。その場合には家庭裁判所に申し立てをして離婚調停へと進むことになります。
離婚調停では、調停委員が夫婦の間に入って、双方の意見を聞きながら離婚するかどうかをはじめ、慰謝料や財産分与、子どもがいる場合には親権や養育費等の様々な条件について意見調整を行います。第三者を交えての協議となるため、当事者のみの場合よりも冷静に話し合いを進められるでしょう。夫婦の意見が合意に至ると調停成立となり、調停調書を作成します。調停証書には、財産分与や親権者等、夫婦が合意した離婚の諸条件が記載され、公正証書と同等またはそれ以上の効力を持ちます。調停の成立から10日以内に離婚届と調停調書謄本を揃えて、居住地域の区役所、市役所に提出すれば離婚成立となります。
調停離婚は自分で進めることもできますが、調停委員の共感を得られるような主張をすることが大切です。自分が離婚したいと思うに至った原因や経緯を上手に調停委員に説明するのが難しいと感じる場合には、弁護士に依頼すると、離婚の可否を含め、条件面で有利に運ぶ可能性が高くなるかもしれません。
調停離婚が成立しなかった場合の家庭裁判所の審判離婚
離婚調停で夫婦が合意に至らない場合には、家庭裁判所が調停委員の話を聞いて、調停の代わりに離婚の審判を下すケースもあります。これを審判離婚といいますが、離婚が夫婦の為になると裁判所が認めた場合にのみ取られる方法で、当事者のどちらかまたは双方の意見に沿わない可能性もあるため、実際に成立するケースは極めて稀です。また審判が下されて2週間以内に、当事者が異議を申し立てると効力が失われてしまいます。
それでも駄目だった場合の最終手段!裁判離婚とは
調停で離婚が成立せず、裁判所による審判も下されない場合には離婚訴訟を起こして裁判による離婚を目指します。調停離婚までは自分で進めることも可能ですが、裁判は素人では困難なため弁護士に依頼した方が良いでしょう。
調停を飛ばして裁判ができないのかと考える人もいるようですが、相手の行方が分からず調停への出席が不可能な場合や調停離婚が不適当であると裁判所が判断する場合を除き、裁判離婚をするには離婚調停の手続きを踏んでいなくてはなりません。
さらに、裁判離婚には法律で定められた以下の離婚事由が必要です。
・配偶者に不貞行為があること
・配偶者に悪意で遺棄されたこと
・配偶者の生死が3年以上明らかでないこと
・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
・その他婚姻を継続し難い重大な事由があること
裁判離婚を進めるにあたって、原告側はまず訴訟を提起し、裁判期日に上記の理由により離婚を希望することを主張します。さらに、被告の言い分も聞いたうえで、必要がある場合には双方に尋問が行われます。審理の結果、裁判所が離婚を認める判決を下せば離婚成立となり、慰謝料請求していた場合の額等、様々な条件が決定されます。
訴訟の途中で裁判所から和解を提示されるケースもあり、この場合には当事者双方が和解案に合意すれば離婚成立となります。
ただし、家庭裁判所が離婚判決を下しても、その内容に納得できない場合には2週間以内であれば高等裁判所に控訴を提起することができます。さらに、高等裁判所の判決にも不服があれば最高裁判所に上告することも可能です。
しかし、裁判離婚は日本における離婚事例の約1%程度で、実際には裁判までいかずに決着を迎えるケースが多くなっています。裁判で泥沼化しないためにも、離婚の原因や自分の主張を日頃から明確にしておくようにしましょう。自分で離婚手続きを進めるのが難しい場合には、弁護士に依頼することをおすすめします。
離婚したくても相手との話し合いが思うように進まない可能性もあります。しかし、そのような場合のために調停委員や裁判所が夫婦の間に入る制度が用意されているのです。心から離婚を望んでいるのなら、諦めずに第三者の力を借りて、幸せな未来を手に入れてくださいね。