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離婚の財産分与で損しない!基礎知識からまとめて解説!
夫婦の問題である離婚ですが、実際にするとなると様々なことを決めていく必要があります。今回は、離婚の際、揉める原因のひとつとなる財産分与で損をしないために、事前に把握しておいた方が良い知識と対策をお伝えしていきます。
離婚に関する財産分与とは?知ってそうで知らない基礎知識
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦が共同で得た共有財産を離婚の際に清算して分配することをいいます。対象となる財産は、不動産をはじめ、車や預金、株式、生命保険、家財道具、退職金などです。たとえば、住宅や車の名義が夫である場合にも、それらを得るまでには妻の協力もあったとみなされ、財産分与の対象となります。このような財産分与の対象となる夫婦が共同で生産した財産を「共有財産」といいます。これに対して、婚姻前から相手が保有していた預金や婚姻中であっても親等から相続して得た財産は、個人の「特有財産」であるとみなされ、財産分与の対象とはなりません。
退職金も、婚姻中の勤続期間に相当する額は、夫婦が共同で築いた財産と考えられるため財産分与の対象です。ただし、退職まで何十年と期間がある場合は、退職金が支給されることが確実でないため、財産分与の対象とされない可能性が高くなります。また、支給が確実な場合でも、財産分与の対象となるのは退職金の総額ではなく婚姻期間に相当した額となります。
また、相手が厚生年金、共済年金を自分よりも多く支払っている場合には、年金分割制度を利用すると、離婚後に年金保険料の納付実績を分け合うことができます。ただし、国民年金の場合には分配されないので注意しましょう。
財産分与は、原則として別居時に保有していた財産を基準に分配されます。離婚成立前であっても別居してから購入した家具や電化製品については、夫婦が協力して得た財産とはみなされず、財産分与の対象とはなりません。また、財産分与の際には離婚の原因が何であるかは問われず、あくまで夫婦で築いた財産を二人で分けるという考えが用いられます。
分配の割合は、財産を築くまでにどちらがどれだけ貢献したかによって決まりますが、夫だけが働いていて妻が専業主婦の場合にも、妻が家庭を守って協力したからこそ得られた財産と考えられるため、一般的には2分の1ずつ分けることが多いようです。
精算的財産分与とは?財産分与の種類
財産分与には、主に「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3つの種類があります。それぞれどのような財産分与なのか順番にみていきましょう。
・清算的財産分与
清算的財産分与とは、婚姻生活中に夫婦の協力により築き上げられた財産を名義等に関わらず、共有財産と考え、離婚時には財産形成の貢献度に応じて分配しようという考え方で、財産分与のうちで、もっとも一般的な方法です。
・扶養的財産分与
扶養的財産分与とは、離婚後に一方が困窮して生活を維持できない場合にもう一方が一定の額を定期的に支払う方法です。妻が専業主婦である場合やどちらかが病気を抱えているケースに認められます。
・慰謝料的財産分与
離婚の際に慰謝料を請求する場合がありますが、本来は財産分与とは別に算定することになっています。しかし、どちらも金銭の問題であることから慰謝料と財産分与をまとめて支払うことも可能とされています。この場合の慰謝料を含めた財産分与のことを慰謝料的財産分与といいます。
この3種類以外にも、別居期間中、生活費を支払っていない時期がある場合には、離婚時に財産分与という形をとって、「過去の婚姻費用の清算」をするケースもあります。
借金がある場合、借金の取り扱いはどうなるの?
それでは、借金や住宅ローンなどのマイナスの財産については、どのように扱われるのでしょうか?
原則として、夫婦が共同生活を送るために負った借金であればプラスの財産でなくても財産分与の対象となります。たとえば、一家で住むために購入した不動産のローンや家族で使用するための車のローン、子供のための学資ローン、生活費補助のための借入などが含まれます。ただし、一方がギャンブルで背負った借金など共同生活を営むことが目的でないとみなされる借入は、財産分与の対象とはなりません。
プラスの財産がマイナスを上回る場合には、プラスの財産の総計からマイナスの分を差し引いて夫婦で分配することになります。
財産分与の方法は?話し合いができなければ調停へ
財産分与は、夫婦間の協議で双方が納得し、話がまとまるのが理想的です。しかし、別居後の話し合いは難しいうえ、当事者による協議だと分配する財産に漏れが発生する可能性もあります。もし、夫婦間の協議で財産分与を決められない場合には、調停で調停委員を交えて話し合いをすることができます。第三者が間に入ることで、離婚という感情的になりやすい場面でも比較的冷静に話し合うことができ、スムーズに財産分与手続きを進められるメリットがあります。調停でも話がまとまらない場合には、訴訟を起こして争っていくことになりますが、裁判の場では証拠が重視されるケースが多いため、相手の給与明細などを事前に揃えておくことが大切です。
調停で相手の全財産を開示させることはできませんが、弁護士に依頼すると「弁護士会照会制度」という法律上の制度を利用して、相手の通帳残高等を把握できるケースもあります。相手が高収入で、多額の預金があることが予想される場合には、弁護士に依頼することで高額な財産を得られる可能性も出てきます。
ただでさえ労力を使う離婚ですが、お金に関わることは大切です。なるべく多くの財産を獲得したいのも本音ですね。離婚の際に財産分与で損しないためにも、事前にできる限り相手と自分の財産を把握しておくようにしましょう。