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会いたいだろうけど会わせない!離婚にともなう子供のための面会交流
夫婦の間に子どもがいる場合、離婚の際に最ももめることのひとつが子どもの親権ではないでしょうか。「かわいい我が子と離れるのはつらい。できればこれからも一緒に暮らしたい。」子どもを愛する親であれば誰だってそう思うものです。
しかし、親権者でないほうの親に子どもを会わせようとしない親権者もいます。そのような場合、離れて暮らす親が子どもと会える方法はあるのでしょうか。
離婚相手次第!離婚後の面会交流や面接交渉、こうすれば子供に会えます。
平成27年度の司法統計によると、調停や審判で離婚した夫婦で父親が親権を取るケースが1947件、母親が親権を取ったケースが18416件となっています。このデータから、母親が親権者となるケースが9割にも昇ることがわかります。(※1)これは、特に未成年者は母親と一緒に暮らしたほうがよいとの考え方や、父親は仕事が多忙で帰宅が遅くなる日が多く育児になかなか時間が割けない事情があることから、このような結果となっているものと推測されます。
仮に母親の元で暮らすとなると、父親はなかなか子どもに会えなくなりますが、そこで必要となるのが面会交流や面接交渉です。
平成23年の民法改正により、離婚後の親との面会交流を協議で決めること、協議が整わないときは家庭裁判所が決定する旨の規定ができました。また、子どもの利益を最も優先して考慮しなければならないことも改正民法には定められています。親と子どもが面会交流するのは親権者でない親の権利であると同時に子どもの権利でもあるのです。
そのため、面会交流をするときは民法に従って当事者同士でまず話し合いをし、話がまとまらなければ裁判所の調停や裁判を通じて面会交流をするかどうかを決めることになります。
子供に会いたい!面会交流、面会交流調停の失敗例と成功例
面会交流、面会交流調停はやり方ひとつでうまくいくこともあれば失敗することもあります。ここでは、成功例と失敗例について見ていきましょう。
<失敗例>
妻に子どももお金も連れ去られた夫が、家庭裁判所に面会調停を申立てました。弁護士をつけている安心感から、調停委員の発言に対して言いたい放題言ったところ、心象を悪くしてしまい、調停委員に夫側の言い分を聞いてもらえなくなりました。(※2)
<成功例>
数年前に離婚した妻との間に小学生の子ども2人がおり、妻が親権を持つことになったため夫側が面会交流を続けてきましたが、元妻が年々面会交流を渋るようになり、夫がとうとう子どもに会えなくなってしまいます。そこで弁護士を立てて面会する頻度や時間などの詳細を詰めた上で面会交流調停を成立させたところ、再び面会交流ができるようになりました。(※3)
また、裁判でも面会交流が認められた例があります。東京高裁の平成22年10月28日決定によると、抗告人(妻)は相手方(夫)に対し、本件決定が確定した後2か月以内の日から毎月1回、相手方が未成年者と面会交流を行うことを許さなければならないとの命令が下されました。つまり、被告である夫が妻と子どもに面会交流をさせる義務を負う債務者になったのです。
離婚後、カワイイ子供との面会交流。手続きはこのステップで
面会交流をするためには、まず当事者同士で子どもとの面会交流の方法を決めるのが基本です。ひと月に何回・どこで・何時間過ごすのかなど、具体的なところまで協議をして決定します。
協議が整わなければ、裁判所に持ち込むのもひとつの方法です。親権者の住所を管轄している家庭裁判所に子どもの監護に関する処分(面会交流)の調停を申立て、調停委員を介して面会交流するための日時や場所などについて話し合います。調停の中では、家庭裁判所調査官による調査や試行的面接が行われることになります。
家庭裁判所調査官による調査とは、子どもが面会交流についてどう思うのか、面会交流が子どもや親権者へどう影響するかを調べることを言います。また、試行的面接とは、子どもが親権者でない親とどのように接するのかを調べるために、試験的に面会交流をさせるものです。
この2つを通して特に問題ないようであれば、定期的な面会交流がスタートします。基本的に直接面会による方法が多く、頻度は月1回・2~3時間程度のケースが多いです。親権者が同意すれば、宿泊を伴う面会交流も実現できます。
こうしている間にも面会交流が不利な状況に!?面会交流において今すぐやるべき事
妻が親権者の場合、「養育費はいらない」と言われても、養育費は毎月きちんと支払うようにしましょう。養育費は、離れて暮らす親から子どもに対する愛情表現のひとつとも言えます。今すぐはわからなくても、子どもは養育費のおかげで学校に行けていることがわかる日がいずれ来るでしょう。定期的な面会交流をスムーズにするためにも、養育費を必ず支払う努力をすることが大切です。
また、どうしても調停や審判での決定に反して面会交流をしてもらえない場合は「間接強制」の方法もあります。これは面会交流させない親権者に対し、裁判所が「1回会わせないごとに5万円」などの制裁金を課すものです。しかし、提示する条件により間接強制が認められるケースもあれば認められないケースもあるため、この方法を利用する際には注意が必要となります。
面会交流は、子どもの情緒を安定させるためにもよい方法です。子どもが嫌がらない限り、面会交流を積極的に行うことが離れて暮らす親と子の関係を維持するのにも役立つでしょう。
※1:多治見ききょう法律事務所「離婚調停で子供の親権を取りたいときになすべきこと」<http://tajimi-law.com/rikon/chotei/shinken.html>を参照
※2:マイク「面会交流で失敗した後の対策の一つ」を参照
<http://menkaikouryu.seesaa.net/article/420287398.html>
※3:デイライト法律事務所「相手方が拒否していた面会交流を再開できたRさん(男性・40代)の事例」<http://www.fukuoka-ricon-law.jp/solution/case61/>を参照
<参考URL>
弁護士法人アディーレ法律事務所「面会交流権 ~離婚後も子どもと会うためには~」
<http://www.adire-rikon.jp/child/mensetsu.html>
多治見ききょう法律事務所「面会交流の間接強制」
<http://tajimi-law.com/rikon/menkaikoryu-kyosei.html>
弁護士法人 しまなみ法律事務所「【子ども】 子との面会交流を許さなければならないことを命じた決定に基づく間接強制の申立てが認容された事例 東京高裁平成24年1月12日決定」
< http://shimanami.way-nifty.com/homelawyer/2012/08/post-37de.html >