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家庭裁判所を介する調停離婚が成立しなかった場合、時間やお金がかかる離婚訴訟を起こす前に、「審判離婚」の可能性が残されています。審判離婚とはどんな離婚方法なのでしょうか?また費用はどれくらいかかるのでしょうか?おさえておきたいポイントをまとめてみました。

 

そもそも審判離婚って何?

「審判」とは家庭裁判所が行う裁判の一種で、当事者が提出した資料などをもとに判断が下されます。家事調停を申し立てて離婚の合意や条件について交渉したものの、調停成立の可能性が低い場合は、審判によって離婚を成立させる方法もあるのです。

 

家庭裁判所の判断で成立する離婚
調停が成立しないケースでは、お互いのためには離婚が妥当なのに、どちらか一方が頑なに主張を曲げなかったり調停の終盤になって出頭しないといった状況に陥っていることがあります。こんなとき家庭裁判所は、調停委員の意見を参考にしたうえで、職権で離婚を決定することが可能です(調停に代わる審判)。調停に代わる審判の対象および要件は、家事事件手続法に定められています。

 

調停が審判に変更されるケース
調停で話がまとまらず、家庭裁判所が審判への変更を認めるのは、次のようなケースです。

1. 離婚に合意したが、何らかの事情で成立時に出頭できない場合
2. 離婚に合意できない主な理由が感情的な反発の場合
3. 夫婦どちらも審判離婚を望む場合
4. 親権の争いなどがあり、家庭裁判所が早急に結論を出すべきだと判断した場合
5. 一度は離婚に合意したが、夫婦どちらかの気が変わって調停への出頭を拒否した場合

 

審判離婚の流れ
審判を行うのは家庭裁判所の家事審判官です。審判官は、夫婦で意見が異なる点について調査官に調査させたり、当事者から直接意見を聞いたり証拠調べを行います。このような調査の結果、離婚したほうが良いと判断すれば、審判官が離婚の審判を下すのです。審判は確定すると調停成立や確定判決と同等の効力を持ちます。また、審判では財産分与・慰謝料・養育費・親権者の決定も同時に行われます。

 

異議申し立ては理由無しにできるって本当?
審判は家庭裁判所が強制的に離婚を成立させる手続きのため、当事者が審判の内容に納得できないという事態も十分考えられます。審判が不服の場合は、異議申し立ての手続きが可能です。

 

異議申し立ては2週間以内に
当事者の異議申立てが可能な期間は、審判が出た日から2週間以内です。もし期限を過ぎてしまうと審判は確定します。つまり2週間以内に、審判を受け入れた場合と、離婚訴訟を提訴するなど他の離婚方法を比較して、どちらが自分にとってメリットが大きいかを検討する必要があるのです。訴訟をしても慰謝料や養育費の金額が大幅に変わらない見通しなら、訴訟にかかる弁護士費用や精神的な負担を鑑みて審判を確定させるという判断もできるでしょう。

異議申立ての手続きは、夫か妻のどちらかが当該家庭裁判所に対して書面で申し立てます。署名捺印をして、審判書の謄本を添付するといった簡単な手続きです。このとき、異議の理由について記載する必要はありません。

 

審判離婚にかかる費用はどれくらい?

審判離婚を行いたい場合、審判の申し立てや、弁護士に依頼した場合にかかる費用はどれくらいなのでしょうか?

審判の申し立てにかかる費用
審判の申し立てにかかる費用は少額です。申立時に必要なのは、収入印紙1200円分と、連絡用の郵便切手800円分です。通常の離婚事件では、これ以外に家庭裁判所に支払う費用は発生しませんが、財産分与にからんで不動産価格を鑑定する必要があるケースでは、鑑定に必要な費用を申立人が事前に収めることになっています。

弁護士に依頼するとかかる費用
弁護士報酬は自由に定めて良いことになっており、金額は弁護士によって異なります。審判事件の弁護士費用は訴訟事件と同じで、相手に対する請求額によって違いますが、少なくとも数十万円はかかります。もし弁護士に依頼した審判で離婚が成立せず訴訟に進めば、訴訟でも弁護士費用が必要になってしまうので、申立人は経済的に大きな負担を負うことになります。
審判の手続きは難しくないので、手続き自体は本人が進めることも可能です。手続きに関する疑問点は家庭裁判所の相談室が無料で相談にのってくれます。また、法律面でアドバイスが必要なときは単発の弁護士相談を利用するもいいでしょう。

調停離婚と裁判離婚の中間に位置づけられる審判離婚は、異議申し立てで簡単に効力を失ってしまうこともあり、実際にはほとんど成立することはありません。しかし、夫婦の協議や調停での交渉で疲れ果て、これ以上時間や費用をかけずに離婚問題を決着させたい方には適している方法でしょう。また、確定審判は調停成立と同様に強制執行ができるという安心感もあります。離婚を成立させる方法の一つとして、覚えておきたい手続きです。

(※1)参照元:石原豊昭・内海徹『離婚を考えたらこの1冊 第4版』(自由国民社、2014) pp.133

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