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昔から根深い問題のひとつである嫁姑問題。婚姻制度は今なお家と家との結びつきの要素が強いのが現状であり、お互いの両親との関係が良好であるかどうかは結婚生活を送る上で非常に重要な問題です。

しかし、夫婦関係は問題がないにもかかわらず、姑や舅との関係がよくないケースも往々にして存在します。この場合でも離婚は成立するのでしょうか。

 

嫁姑問題は離婚原因になる

協議離婚であれば別れる理由は問われません。夫婦がお互いの言うことに納得できれば円満に離婚が成立します。しかし、調停や裁判になった時に、嫁姑問題が離婚原因として認められるかどうかはケースバイケースです。婚姻生活はあくまでも夫婦二人のものであり、基本的に姑や舅との折り合いが悪くても離婚は認められないからです。

しかし、日常的に姑から暴言を吐かれたりいじめられたりしている場合には、離婚が成立する可能性があります。実際に離婚できるかどうかは、姑からの嫌がらせなどが民法770条1項5号の『婚姻を継続し難い重大な事由』にあたるかどうかによって決まります。

夫また妻には、自分の両親と配偶者との関係をうまく取り持つ義務があります。一方が相手の両親と仲良くする努力をしているのに、相手がそのことに無関心だったり自分の両親と結託して配偶者に嫌がらせをするようであれば、相手方に婚姻生活を破綻させる原因があるとされ、離婚の請求が認められる場合があります。

また、親と同居している場合、生活費の支払いや子供の教育方針についてもトラブルの原因になることがあります。毎日の生活に関わることだけに、この問題は嫁姑問題に発展しやすくなるのです。

 

姑問題で離婚を考えたときに有利になる取るべき行動

姑の暴言やいじめなどがあまりにもひどい場合、民法709条の不法行為が成立すれば姑に対し慰謝料請求をすることができます。少しでも高い慰謝料を得られるようにするためには、客観的な証拠を残しておくことが最も重要です。

いつどこでどのような仕打ちを受け、そのときの配偶者の対応はどうだったのか、姑のいやがらせ行為に対してどのような精神的苦痛を感じているかなどについて、詳細を具体的にメモするなどして記録を残しておきましょう。そうすれば、裁判になった時にこのメモが有力な証拠として機能します。

ただし、相手の親との不仲を法律に規定されている「婚姻を継続し難い重大な事由」として立証することは、法律をよく知らない素人には困難です。そのため、離婚問題に詳しい弁護士などの専門家に相談の上アドバイスを受けることをおすすめします。

また、離婚調停になったときには、調停委員に「そういう事情なら旦那との離婚もやむを得ないだろう」と思わせることも大事なポイントです。姑との確執が夫との信頼関係破壊を招いたことを、調停委員にわかってもらえるように話をしましょう。「姑とこのような問題があり、それに対して夫がこれをした・しなかった」という流れで話を進めることがコツです。

ちなみに、小さな子供がいて離婚に至った場合、よほど問題がない限り親権は妻のほうに渡ることになります。親権を妻が持つことになっても夫が子供を取り返すケースもあるため、できればお互いに納得がいく形で決着をつけることがのぞましいでしょう。

 

姑問題が原因で離婚できた事例

過去に姑問題が原因で裁判となり、離婚が成立した事例があるのでみていきましょう。この2つの事例には共通することがあるのですが、それは何でしょうか。

名古屋地裁岡崎支部昭和43年1月29日判決で、姑の嫁いびりにより婚姻生活わずか半年あまりで妻からの離婚請求が認められたケースがあります。結婚後、妻は夫の両親が営む農業を手伝っていたのにもかかわらず、姑・舅から小言を言われるようになりました。夫は妻と両親との関係を改善する努力もせず事態を放置していたことから、このことが「婚姻関係を継続し難い重大な事由」であるとして,名古屋地裁は妻からの離婚請求を認めています。

また、盛岡地裁遠野支部で行われた昭和52年1月26日判決でも、姑・舅からの嫁いびりについて妻からの離婚請求が認められています。判決によると、妻は夫の両親から「ご飯を食べるときの口の開け方が悪い」「箸の持ち方が悪い」などと言われたり、掃除中に雑巾を投げつけられるなどの執拗な嫁いびりを日常的に受けていました。妻は夫に自分と両親の仲を取り持つよう依頼したのにもかかわらず、夫は何もしません。このことが夫婦関係の破綻を招いたとして、妻から夫への離婚請求が認められました。このケースでは、夫の両親に対する慰謝料請求も認められているのが特徴です。

どちらの裁判の場合も、姑・舅からどのような仕打ちを受けたのか・そのとき夫はどうしたかについて具体的な状況証拠が示されており、それが結果として妻の立場に有利に働いています。離婚を有利に進めるためには、やはりこのように詳細な証拠を日頃から準備しておくことが必要でしょう。

 

【参考URL】

知って得する離婚マニュアル「婚姻を継続し難い重大な事由」
< http://www.toku-rikon.com/uwaki/uwaki8-5.html>

弁護士法人ひいらぎ法律事務所「嫁姑問題が原因での離婚事例を知りたい」
< http://www.himeji-rikon.com/055qa/0550200280/>

「離婚したい」を実現するために知っておく27の事柄「離婚を考えている方へ」
< http://www.do-bohan.jp/600/post-62.html>

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