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一刻も早く離婚するために慰謝料や財産分与について話し合わないで離婚してしまった…そんな場合でも離婚後、慰謝料を請求することができるのでしょうか? また離婚後に慰謝料を請求する際は、どんな点に注意すればよいのでしょうか?

 

離婚後の慰謝料請求について

慰謝料や財産分与についての話合いをしないで、離婚してしまうという人がいます。頭に血が上り、これ以上配偶者の顔を見たくないという感情が優先したときです。しかし時間が経過し、冷静になると慰謝料を請求すればよかった、あるいは財産分与を要求すればよかったと後悔することがあります。離婚後、収入的に困らなくても引っ越しや新居探しなどで予想以上の出費が発生します。また子供を引き取れば、従来のような働き方ができず、収入が下がるなど、問題は後から生じることもあるのです。

結論からいうと離婚後でも慰謝料請求はできます。請求の方法は、まず夫婦間で話し合いをして、解決できなければ家庭裁判所に家事調停の申し立てをすることになります。調停で合意しなければ、家庭裁判所が審判により決定します。離婚した相手と対面して交渉するのは精神的な苦痛を伴いますので、裁判所を介する調停という方法を選んだ方がよいでしょう。

さらに離婚後の扶養的財産分与が認められることもあります。扶養的財産分与とは、離婚後、夫婦の一方が生活に困窮してしまうという事情がある場合、その生計を補助するという扶養的な目的により配合者の財産が分与されることです。民法(第768条)の規定によれば、離婚時に夫婦の財産を分け合って清算した場合、慰謝料を除いてそれ以上の財産を請求できないとされています。

ただし婚姻中の夫婦の収入に格差があり、その状態が継続的であった際、家庭裁判所は扶養的財産分与を認めることがあります。例えば専業主婦として妻が夫を支えている世帯です。夫は婚姻中に仕事に専念してキャリアやスキルを向上させ年々、収入をアップさせてきました。一方で妻は家事労働をいくら頑張っても、自身の職業労働能力が向上することは難しかったかもしれません。その代わり、夫の職業労働能力向上に貢献したと考えられます。

 

離婚後に浮気相手(不倫相手)に慰謝料請求

離婚の原因が、夫婦の一方の不貞行為にあるとき、他方の配偶者がその不貞に加担した相手に慰謝料を請求することがあります。夫に浮気された妻がその浮気相手に対しても慰謝料を請求するようなケースです。

請求方法は、不倫相手と話し会うことができるのであれば支払い額について討議し、示談書にまとめます。慰謝料の支払いについて話がまとまったら、示談書(和解契約書)を必ず作成し、両者署名捺印をして証拠として保有しておいて下さい。

浮気相手が話し合いに応じないときや、こちらも相手の顔を見たくない1、精神的苦痛だという場合は、内容証明郵便を送ります。内容証明は不倫した相手に対して心理的プレッシャーを与えることができますが、相手にとっても何らかの証拠のひとつになりますのでその内容について注意しなければなりません。嘘を書いたりや脅迫と受け止められるような記載は禁物です。内容証明の文面によっては、慰謝料の請求ができなくなる恐れもあります。内容証明を作成する際は、弁護士などの専門家に依頼することをお勧めします。差出人に法律家の名を入れておけば、本気だと相手に思わせる効果があります。

内容証明郵便を送っても、折り合いがつかなかった場合は、浮気相手の住所地の簡易裁判所で、調停を申し立てることになります。調停で話し合いがまとまれば、調停調書が作成されます。調停調書は裁判の判決と同じ効力を持ちますので、相手が調停で決まったことを守らなければ、強制執行をすることも可能です。

もし調停が不調に終わったら、地方裁判所に訴訟を提起することになります。このあたりの流れは、離婚相手に対する慰謝料請求と同じです。一般的に浮気相手に対する慰謝料は、多額な金額を期待できません。話し合いに応じないケースもあるので、内容証明便の作成や調停、裁判など費用と労力もかかるので割に合わないこともあります。ただし不貞行為によって受けた精神的な苦痛を補ってもらうという観点からすると請求したほうがよいでしょう。

なお浮気した相手は、必ずしも慰謝料を払うという義務があるわけではありません。夫婦関係が別居しているなど事実上、破綻した状態であったときは、浮気した相手側の責任がないからです。

 

離婚後の慰謝料請求をする際の注意点

以下の三つの点に留意する必要があります。まず請求するのに期限があるということ頭に留めておきましょう。慰謝料の請求は離婚後3年で時効となります。財産分与および年金の分割の請求は2年です。したがって離婚後、できるだけ早めに請求する必要があります。

二つ目は離婚の際、「金銭的あるいは財産的な請求は今後、一切致しません」という趣旨の約束をしていると、詐欺または脅迫によって請求権を放棄させられたときを除き、請求ができなくなることです。決定事項を調書に記載するときは、一項目ごとに間違いがないか確認する必要があります。

三つ目は、有責配偶者が明確になっていることが必要です。慰謝料は夫婦の一方側に離婚に対する原因または責任があるときに支払われます。離婚前であれば、原因を作った側がそれを認めた上で、離婚に向けた協議が行われます。しかし離婚後であれば、その理由が曖昧になってしまうことがあるからです。不倫や暴力などの決定的な証拠があれば別ですが、精神的な嫌がらせなど目に形に見えないことが原因のときは証明するのが難しく、お互いの性格の不一致が原因という結論となってしまうことがあります。

離婚後の慰謝料の請求は、複雑な部分もあります。一人で悩まず、分からないことがあれば、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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