記事の詳細
離婚に備えるための弁護士保険って何?法的トラブルから守るために
弁護士保険という言葉を耳にすることがあります。離婚に備えるための弁護士保険とは一体どういうケースで使えるものなのでしょうか? その内容と効果について適用事例を交えながらご紹介します。
弁護士保険とは
弁護士保険とは、弁護士に払う費用の一部または全額を保険金でまかなえる保険サービスです。医療保険に加入すれば、病気やけがの治療費や入院費を賄うことができますが、同じように日常生活の予期せぬ法的トラブルの場合に弁護士費用の一部または全額を保険金でまかなえるというものです。
- 弁護士に相談するメリット
交通事故、セクハラやパワハラなどの雇用問題、相続など望まなくてもトラブルに巻き込まれ法廷で相手と争うことがあります。離婚も同様です。協議離婚や調停離婚では弁護士に依頼せずに当事者だけで離婚を成立させることもできますが、慰謝料や財産分与、親権や養育費などの話し合いがまとまらず、裁判に持ち込まれることもあります。さらに判決が下ったあとも慰謝料や養育費を払わないといった問題が発生する恐れがあります。離婚の問題をスムーズに解決させるためには、最初から弁護士に相談してみたほうが合理的です。
- 弁護士に払うお金はどうやって用意する?
ただし弁護士に依頼するには、それ相当の費用が必要です。依頼したときに支払う着手金、調停や裁判が要望したとおりに収束した際に払う報酬金など合計で50万以上のお金が必要なこともあります。離婚した際には、新しい生活を始めるためのお金も必要ですので、弁護士に払うお金を用意できないこともあります。こうした備えとして弁護士保険に入っておくと安心です。法テラスのような相談料が無料の窓口もありますが、法律上の知識や方向性を示してもらっただけでは不十分です。実際に相手との示談交渉をしてもらわないと問題の解決になりません。
弁護士保険のおすすめ
弁護士保険といえば、自動車保険などの特約としてつけている人もいるでしょう。追突事故の被害者あるいは加害者になってしまった場合に、弁護士相談にかかる費用を損保会社から支払われるというものです。ただし特約の利用条件に「保険会社が同意した原因事故の場合に使える」 という条件を設けている商品もあります。使いやすいとは言い切れない面があります。
- 弁護士費用に特化した保険商品がお勧め
やはり単独で入れる弁護士保険のほうが使いやすいといえます。平成25年に誕生した、弁護士費用保険Mikata」(プリベント少額短期保険株式会社)は、これまでの損害保険の特約ではなく、弁護士に払う費用を補償することに特化した商品で、個人でも加入できるようになっています。保障内容は、月約3千円の保険料で年間1千万までの弁護士費用が支払われます。また24時間の無料電話相談サービスなども契約内容に含まれています。
- 離婚以外の問題もカバーする
弁護士に対する支払対象は、離婚問題から最近増えている相続トラブル、投資トラブルなどの金銭がらみのトラブルに至るまで広範囲に対応しています。相続に関するトラブルなどというと資産家だけの問題だと思われる方も多いと思いますが、かえって資産がない人の方が争う傾向があり、その件数も年々増加しています。またパワハラ、セクハラ、解雇など雇用に関するトラブルも増えてきています。普通に部下を指導していてもパワハラだと訴えられることもあるのです。
弁護士保険が適用される事例
弁護士保険は以下のようなときに適用できます。
- 離婚調停のお願い
夫婦が自分たちで離婚の話し合いができない場合には、離婚調停を利用して離婚の話し合いをすすめる必要があります。調停委員が間に入ることにより、冷静な話し合いができるようになります。弁護士というと、裁判のイメージが強いですが、離婚調停の代理人もお願いすることができます。
- 慰謝料の値下げ
離婚後、配偶者から500万円という慰謝料を請求されました事例では、慰謝料を示談交渉した結果、300万円で決着、200万円の値下げすることに成功しました。2時間の法律相談料と示談交渉料として弁護士に払った34万のうち20万を保険によって賄うことができたのです。
- 離婚および相続トラブル
離婚はしていないものの不倫相手と暮らしている夫が亡くなった事例です。不倫相手と夫は籍こそ入れていないものの、不倫相手に遺産を相続させるという遺言があると主張し、相続財産の全額1千万を貰うと主張してきました。弁護士と相談した結果、法定相続分の半分250万円が遺留分として認められると言われました。そのため弁護士に不倫相手と交渉していただき、250万円を支払ってもらうことができました。
- 未払い残業代の回収
Aさんは毎月80時間以上の残業が1年以上続いたため体調を崩して会社を退職しました。体調が戻らないため、しばらく新しい職場で働けない状況です。辞めた会社では、毎月30時間しか残業をつけさせてくれませんでした。労働基準監督署に未払い残業代の回収を訴えても、出勤簿に記録が残っていなければ難しいという回答でした。弁護士に相談し、退職した会社と交渉を依頼しました。未払い残業代の115万のうち80万を支払うことで決着しました。Aさんが弁護士に払った着手金と成功報酬を合わせた合計35万のうち、20万を弁護士保険から下りることになりました。
弁護士保険はトラブルの予防という効果もあります。弁護士保険に加入するとリーガルステッカーが送付されるので、家の玄関やドアなどに貼ることで、悪質な訪問販売や押し売りを防ぐ効果が期待できます。このように、離婚のときだけでなく、広く利用できるのが弁護士保険なのです。